「加盟店になるって、具体的に誰と何を契約することなのだろう」
「決済代行と契約すれば、カード会社との契約は不要なのか」
「加盟店番号や加盟店手数料という言葉は見るが、正体が分からない」
カード決済を導入するとき、事業者は「加盟店」という立場になります。ところがこの言葉は当たり前のように使われる一方、何を指すのかを説明した資料は意外に少ないものです。
加盟店の位置づけが分かると、契約の相手が誰なのか、審査は誰がするのか、入金は誰から来るのかが一本の線でつながります。契約書を読むときの迷いも減ります。
この記事では、加盟店とは何かという定義から、登場する会社との関係、2つの契約方式の違い、加盟店になるまでの流れ、そして加盟店として守るべきことまでを順を追って解説します。
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【結論】加盟店とは「カード決済を受け付けてよいと認められた事業者」
結論から言えば、加盟店とはクレジットカードなどでの支払いを受け付けることを認められた事業者のことです。お店側の立場を指す言葉で、英語では merchant(マーチャント)と呼ばれます。
ここで大切なのは、加盟店は「登録すればなれる」ものではなく審査を通って契約して初めてなれるという点です。カード決済は代金の立て替えを含む仕組みなので、受け付ける側の信用が確認されます。
なぜ審査が必要なのか
カード決済では、お客様が支払った時点ではまだ現金が動いていません。カード会社が一度立て替え、あとから加盟店に入金されます。
つまりカード会社側は、商品やサービスが実際に提供されることを前提にお金を先に動かしていることになります。だからこそ、事業が実在するか、提供する商材に問題がないかを事前に確認する必要があるのです。
「加盟店」と「加盟店契約」は別の言葉
加盟店は立場、加盟店契約はその立場になるための契約を指します。契約の中で決済できる範囲・入金の条件・守るべき事項が決まります。
加盟店を取り囲む4者の関係

カード決済には複数の会社が関わります。役割を整理すると、加盟店がどこに位置するのかが見えてきます。
①カード会員(お客様)
カードを持って支払う人です。カードを発行した会社と契約している立場になります。
②イシュア(カード発行会社)
お客様にカードを発行し、利用代金を請求する会社です。お客様側の窓口を担います。
詳しくはイシュアとは何かを解説した記事で扱っています。
③アクワイアラ(加盟店契約会社)
加盟店の契約相手になるのがこのアクワイアラです。加盟店を開拓・審査し、契約を結び、売上の代金を加盟店に支払う役割を担います。
「加盟店になる」とは、実質的にこのアクワイアラとの関係ができることを意味します。役割の詳細はアクワイアラとは何かを解説した記事で整理しています。
④決済代行会社(PSP)
加盟店とアクワイアラの間に立ち、契約や接続、入金をまとめて扱う会社です。複数のカードブランドや決済手段を1か所に集約できます。
位置づけはPSPとは何かを解説した記事や決済代行とは何かを解説した記事で確認できます。
お金と情報の流れ
お客様がカードで支払うと、情報はアクワイアラを経てイシュアに届き、利用の可否が返ってきます。代金はイシュアからアクワイアラを経て、加盟店に入金されます。
この一連の流れはクレジットカード決済の仕組みを解説した記事で図解しています。
加盟店契約には2つの方式がある

どのように契約するかで、手間と自由度が変わります。ここが導入方法を決める分岐点です。
方式1:個別加盟店契約(各社と個別に契約する)
カードブランドや取り扱う会社ごとに、1社ずつ契約する方式です。条件を自社で交渉できる余地があり、取扱高が大きくなるほど有利に働く場合があります。
一方で、契約する数だけ審査・契約・接続作業が発生します。入金日も相手ごとにばらつくため、売上管理が分散しがちです。
方式2:包括加盟店契約(決済代行会社を通す)
決済代行会社が各社との間に入り、まとめて契約・処理する方式です。事業者から見ると、申込・審査・接続・入金の窓口が1つに集約されます。
審査が一度で済み、あとから決済手段を追加したいときも同じ窓口で相談できます。現在は多くの事業者がこの方式を選んでいます。
どちらを選ぶべきか
これから導入する場合や、事務・開発に割ける人手が限られている場合は、包括加盟店契約が現実的です。準備するものが少なく、稼働までの見通しも立てやすくなります。
個別契約が候補に入るのは、取扱高が十分に大きく、条件交渉と分散した運用を自社で引き受けられる体制がある場合です。
加盟店になるまでの流れ

包括加盟店契約を選んだ場合の流れです。個別契約の場合も、大枠は同じ工程を契約先ごとに繰り返す形になります。
ステップ1:受け付けたい決済手段を決める
クレジットカードだけか、電子マネーやQRコード決済も受けるのかを決めます。ここが決まらないと申込内容が固まりません。
ステップ2:申し込みと書類の準備
申込書に加えて、登記事項証明書や本人確認書類、事業内容が分かる資料などを提出します。事業形態によって必要書類は変わります。
ステップ3:加盟店審査
ここが最も時間がかかる工程です。事業の実態、扱う商材、販売のしかた、代表者や事業者の信用などが確認されます。
審査で見られる項目と対策は加盟店審査の通過率を上げるポイントを解説した記事にまとめています。商材によって難易度が変わる点は審査に通りにくい業種と対処法の記事が参考になります。
ステップ4:加盟店番号の付与と設定
審査を通ると、加盟店を識別する番号が割り当てられます。これが決済処理や問い合わせのときの識別子になります。
あわせて端末やシステムの設定を行い、決済ができる状態を作ります。
ステップ5:テスト決済と稼働、初回入金の確認
実際に決済が通るかを確認してから運用を開始します。最初の入金が想定どおりに入るかまで見届けて、ようやく導入完了です。
加盟店として守るべきこと

加盟店になると、契約上の義務が発生します。知らずに違反すると、契約解除につながることもあります。
カード情報を適切に扱う
カード番号などの情報は、決められた方法で扱う必要があります。自社で保持しない形にするのが基本の考え方です。
考え方はカード情報の非保持化を解説した記事で扱っています。
申告した商材・販売方法を守る
審査は「申告した内容」に対して行われます。審査後に扱う商材や販売方法を大きく変える場合は、事前に申し出る必要があります。
黙って変えると、契約違反として扱われることがあります。取扱商品を増やすときは相談しておくのが安全です。
お客様への表示を整える
事業者の名称・連絡先・返品や解約の条件などを、お客様が確認できる形で示す必要があります。とくにオンラインで販売する場合は、サイト上の表示そのものが審査と運用の対象になります。
オンライン販売での表示については特定商取引法に基づく表記を解説した記事で整理しています。
不正利用やトラブルへの対応に協力する
不正利用の疑いや、お客様からの支払いに関する申し立てがあった場合、加盟店は調査への協力を求められます。売上の取消や返金が発生することもあります。
この仕組みはチャージバックを解説した記事で詳しく扱っています。
よくある質問
個人事業主でも加盟店になれますか?
なれます。ただし提出する書類が法人とは異なり、事業の継続性を示す資料が求められることがあります。事業内容と実績を整理して申し込むとスムーズです。
決済代行会社と契約すれば、カード会社との契約は不要ですか?
包括加盟店契約の場合、事業者が各カード会社と個別に契約する必要はありません。決済代行会社が間に入る形になります。ただし加盟店としての義務は変わりません。
加盟店番号は何に使うのですか?
加盟店を識別するための番号です。決済処理の内部で使われるほか、問い合わせや売上の照会のときに参照します。お客様に提示するものではありません。
実店舗とオンラインの両方で使えますか?
両方に対応できますが、必要な手続きや審査の観点が異なります。オンラインではサイトの表示内容が確認されるため、店舗のみの場合とは準備するものが変わります。
審査に落ちたら、加盟店にはなれないのですか?
一度落ちても、指摘されやすい点を整えて再申請する道があります。ただし同じ内容で出し直しても結果は変わりにくいため、原因の当たりをつけて直すことが先です。





